今回は筋違い角戦法に困っている人に向けて、筋違い角戦法の対策を紹介していきたいと思います。僕自身も筋違い角対策がわからずに困っていた一人ですので、皆様の気持ちが痛いほどわかります。しかし、この記事を見れば、筋違い角に対して互角以上に戦えるようになるはずです。
どのように筋違い角を攻略するのか、その好例としてまず羽生ー鈴木戦を紹介したいと思います。対筋違い角ということで後手の指し手参考にしてください。実際に当たった時に、この将棋の後手番の攻め方を思い出しながら指し手を組み立ていただければと思います。
対振り飛車
初手からの指し手
▲76歩△34歩▲22角成△同銀▲45角△62銀▲34角△32金▲66歩△33銀▲67角△64歩▲88銀△63銀▲77銀△54銀(第一図)
▲45角に対しては、△62飛と回り▲34角△42飛として無理矢理振り飛車にするのもあります。「居飛車はわからな~い。振り飛車にしないと泣いちゃう~」みたいな方にとっては有力だと思います。筋違い角に対しては本記事で紹介する以外にも対策はあるので、自分の胸に手を当てて対策をどうするか決めてみるのもありかもしれません。この対策では△64歩~63銀~54銀と腰掛け銀に組んでいきます。もし知らない戦法に出会ってどうにもこうにも指し方がわからない時は腰掛け銀に組むことをお勧めします。そうすれば一気に負けることは少ないからです。ただこれに関しては責任は負いかねますので自己責任でお願いします。
第一図以下の指し手
▲68飛△44歩▲75歩△45歩▲58金右△34銀▲48玉△24歩▲38玉△43金▲86歩△25歩▲85歩△22飛▲28銀△72金▲88飛△26歩▲同歩△同飛▲27歩△22飛▲48金直△33桂▲84歩△同歩▲同飛△83歩▲86飛(第二図)
こんな感じで向かい飛車にするのがよさそうです。居飛車のまま戦うのが悪いわけではありませんが、6、7、8筋で戦いを起こすと後手の角や飛車などを働かせやすくなってしまいます。△45歩によって先手の角は2、3、4筋への利きがシャットアウトされていますので、そこで戦いを起こせば先手が角を手放してしまった損が如実に表れるはず、という読みです。左右反転した相居飛車みたいなものなので、居飛車党の方でも指せると思います。ここまでの指し手を見ると、後手は飛車、銀、桂馬をスムーズに活用できているのに対し、先手はさんざん手数をかけて成果は1歩交換のみで角や銀の活用ができていません。要するに、ここ数手では後手のほうが価値の高い手を指せているということです。第二図までの先手の指し手が必然かといわれると難しいですが、美濃囲いに組むとコビン攻めが厳しいですので金無双に組むのは妥当で代わる手もあまり見えないです。基本的に第二図のように先手が角の働きに苦労するような陣形に指しやすい形勢になると思います。
第二図以下の指し手
△35銀▲68銀△46歩▲同歩△同銀▲47歩△35銀▲77桂△14歩▲16歩△45桂▲82歩△26歩▲同歩△36歩▲81歩成△26銀▲23歩
後手は4筋で歩交換した狙いは歩を二枚持っての△26歩~36歩の攻めです。△36歩に対して▲同歩と取るのは△26銀▲27歩△37歩と打たれ後手の攻めが筋に入っています。以下、玉を逃げると2筋を突破されてしまいますので▲同桂ですが、△同桂▲同金(▲同銀は△27銀成)△同銀成▲同銀△29角で後手が優勢です。なので先手は▲82歩と形を乱して勝負しようとします。これに対して△同金もありましたが、後手の羽生先生は指せるとみて△26銀と踏み込んでいきました。▲23歩は△同飛なら飛車が間接的に角の効きに入るということです。しかし、この後△37歩成から△32飛と三筋に集中砲火され、先手が支えきれなくなりました。。
対筋違い角の考え方
①相手の角を捌かせない
②積極的に歩交換を狙う
③相手が角を手放しているので伸び伸びと駒を活用する。(逆に相手はこちらの角の打ち込みを警戒しなければならなくなっている)
相手の陣形が先ほどの陣形と違っても、この3つを意識して戦っていただければと思います。なぜこの3つの考え方が大切なのかということですが、こちらとしては、相手に歩得される代わりに角を手持ちにしていることを主張したいからです。①角を捌かせなければ相手の角の価値が下がるため、こちらの角を手持ちにしているメリットがより大きくなります。②歩交換をすれば、相手の歩得という主張を小さくすることができます。どういうことかというと、持ち歩の差が1対0だと歩を持っていることが大きいですが、5対4だとあまり変わらないのです。なぜなら前者の場合指し手の是非が変わることがあるのですが、後者の場合それがほとんどないからです。③お互い角を持っているとどちらも角の打ち込みに気を付けなければいけませんが、(角の抑止力)片方が角を手放すともう片方は駒をのびのびと活用できるようになります。そうなると角だけでなく、他の駒の働きでもこちらが勝ることができます。
級位者の方などは何を言っているかさっぱりかもしれませんが、そういうものだと思ってください。対筋違い角に限らず、何を主張して戦うかを考えると、指し手の方向性を決めやすくなるはずです!ここからは少し蛇足ですが、他の相手の陣形に対してどのように戦うかを軽く紹介したいと思います。
対56角型振り飛車
初手からの指し手
▲76歩△34歩▲22角成△同銀▲45角△62銀▲34角△32金▲66歩△33銀▲56角△64歩▲88銀△63銀▲77銀△54銀▲68飛△44歩▲48玉△45歩▲38玉△44銀▲58金△55銀左▲78角△46歩▲同歩△同銀▲47歩△35銀(第4図)
先手が56角型だと▲83角成があるため、△22飛と回れません。しかし、△55銀と角を追って4筋を交換した後△35銀とすると、先程の手順に一手得しながら合流できます。以下は同様にして攻めていけばよいと思います。
初手からの指し手
▲76歩△34歩▲22角成△同銀▲45角△62銀▲34角△32金(第5図)
対居飛車
今度は相手が居飛車にしてきたときです。筋違い角は十中八九振り飛車にしてくるのですが、たまに居飛車をしてくる人もいます。僕も一度とある大会の決勝戦でやられてぼこぼこにされたことがあります。勝ったその子は豪華なトロフィーを獲得し、僕はコピー用紙くらいの薄さの賞状をもらいました。筋違い角対策をきちんとできていれば、そのトロフィーは僕が獲得していたかもしれません。
第5図からの指し手
▲66歩△33銀▲56角△64歩▲88銀△63銀▲77銀△54銀▲26歩△62金▲25歩△74歩▲同角△84飛▲56角△73桂▲75歩△65歩(第6図)▲△▲△▲
後手としては△74歩~△73桂~△65歩と仕掛けていきたいところです。角が67や78にいる場合は普通にそれを狙っていけばいいと思います。ただ、56に角がいる形では56の角が効いているため△74歩をつけないように見えます。しかし一度△62金とした後△74歩が成立します。対筋違い角に対しては、歩の損得をあまり気にせずに攻めの形を作ることを意識するとよいと思います。第6図まで進むと後手は2歩損しているにもかかわらず、後手がよくなっています。
対16角型居飛車
第5図からの指し手
▲88銀△33銀▲16角△84歩▲77銀△85歩▲78金△74歩▲26歩△64歩▲25歩△73桂▲48銀△75歩▲同歩△65桂(第7図)
先手は66歩から角の退路を作ると、6筋を争点にできるため後手がよくなりました。そこで▲16角と引いたらどうなるかということですが、ここに角を引いてくれれば後手は安心する意味もあります。なぜなら角がそこまで攻めに働いていないからです。第7図以下は、▲66銀なら△76角、▲88銀なら、△86歩▲同歩△同飛▲87銀△同飛成▲同金△78角で攻めが成功してます。実際ここまでうまくいくことは少ないと思いますが、こんな攻め方もあるということを記憶の片隅に入れておくとよいかもしれません。
僕個人としては、本記事で紹介した手順よりも、考え方を覚えてほしいと思っています。なぜなら、手順だけを覚えると、未知の局面に遭遇した時に指し手がわからなくなってしまうからです。本記事で筋違い角をほとんど網羅したつもりですが、紹介していない形に遭遇する可能性もゼロではありません。最後に、本記事が皆様が筋違い角に対する恐怖を少しでも取り除いてくれることを祈ってマウスを置きます。

コメント